金融異常の予測可

これから押し入るってわけか、武力にモノを言わせるならばこちらの勝ちはそこまで難しくない。どこかで政治的な圧力を受けさえしなければな。

 

「兵力面では問題ないでしょうか?」

 

「うむ、兄上のところの部曲兵も報復に出る。見境なく暴れなければ良いが」

 

 そりゃ報復もするだろうな。俺は過剰になるか、なら予定通り外で待っていた方が良さそうだな。

 

「自分は当初の計画通り外に待機しています。宜しいですか?」

まずは確認だ、何苗が乱れた状況で何を優先するか。それにしても市街地は全く騒ぎが無いな。近衛を連れて内城へ向かうと閉門されていた。門衛に「歩兵校尉島だ、開門しろ!」印綬を見せて命令すると扉を開く。車騎府は中央にほど近い場所に据えられている、速足で駆けさせるとすぐに到着した。

 

 武装した兵士が警戒をしているが、こちらの旗印を見るとほっとして通過を許す。下馬して何苗を探す。

 

何苗将軍!」

 

「おお、島将軍! まずいことになった、兄上が宦官の謀略にのり落命を。いま袁紹曹操らが宮へと乗り込んでいるところだ」「ああそうしてくれ。こちらは狙った宦官らの首を落とすだけのこと、こうなれば最早兵力こそが正義だよ」

 

 そいつは道理だな。意志も確認出来た、離脱しよう。側近の楽隠は忙しそうにしてる、吏路と牽招の顔色はいまひとつか。

 

「おい吏路、牽招、落ちついて何苗将軍の身辺警護に集中するんだ。他は誰かがきっちりとするから、そこまで考えなくてもいい」

 

「島将軍、ありがとう御座います!」

 

 拳礼をして不安を見透かされたのに若干恥じつつも、無理してでも笑顔を作る。それでいい。

 

「一大事あれば北門の外側に待機しているから報せろ。では武運を祈る」

 

 こいつらに何かが出来るわけではないが、顔を知りこうやって言葉を交わす仲だ、無事で居てくれと願う位いいよな。内城から出るのに同じ門を通らずに、東門を選んだ。多くの情報を一カ所で知るのは良くないことだからだ。

 

 市街に出るとゆっくりと駒を進めて、城外の文聘らと合流を果たす。その頃にはもう真夜中だった。宮のあたりがほのかに明るいように見えている、火の手があがっているんだろうなあれは。

 

 さて何が何でも全員で警戒している必要はないぞ、かといって黙っていたら全員が落ち付くまい。

 

「文聘、五人に一人警戒で一時間交代、後は食事と休憩をさせておけ。何事かあってからの準備で構わん」

 

「ではそのように命令致します」

 

 傍には荀彧が居て空を見上げている。趙厳は俺の招きを容れて控えている、少し話でもしておくか。

 

「趙厳こちらへ」

 

「はい、将軍」

 

 高校卒業直後って感じだったか、こいつはこんな時でも冷静なんだな。「本来ならばこの歩兵校尉が率いる近衛、皇帝を守るために宮に駆けつける命令が下される。だがなんと不思議なことに争いなど起こっていないことになっている。お前はどう思う?」

 

 異常なし。騒がしくても今の帝にはそのように報告が上がっているだけなんだよ、お互い下手な勅令を出されても困るからな。

 

「騒ぎを収めた者が、負けたものを騒乱で処断するように訴え出るのでしょう。兵力で争うならば宦官に勝ち目は薄いかと」

 

 無いではなく薄いと表現したか。そりゃ完全にどうだとは言えないからな。

 

「ではもし君が宦官ならどうする?」植髮

 

 幾度となく繰り返した言葉、君ならどうする。趙厳という男の考えを知るには、これこそが最高の質問だろ、なあ荀彧。話を聞いているだろうが、視線は星を見たままだ。