「これも三津さんの幸せの為です

「これも三津さんの幸せの為です。どう?三津さん赤禰さんにドキドキする?したらそれは恋やで。」

 

 

「えっ嘘めっちゃドキドキしてます!恋ですか!?」

 

 

三津も両手を左胸に当てて混乱している。まんまと乗せられている。

 

 

「文ちゃん嘘教えなや!」

 

 

赤禰が参加してくると分が悪くなると入江は目を釣り上げて怒った。顯赫植髮

 

 

「それは三津さんの胸に聞かんと。桂様や入江さんに抱きしめられてドキドキする?」

 

 

文のその質問にうーんと考えた三津はしないと首を横に振った。「じゃあ赤禰さんにぎゅーってされたらどう?」

 

 

「小五郎さんと九一さんには慣れたけど武人さんにぎゅー……アカン!考えただけで心臓破裂する!」

 

 

「ほら!赤禰さんにはときめいちょるそ。新しい恋の始まりやな。」

 

 

文がにやりと笑うから赤禰は底意地が悪いなとけらけら笑った。

 

 

「いけん!武人さん早く三津の記憶消して!!」

 

 

「はいはい,そしたら文ちゃんの持っちょるお酒くれんかのぉ。」

 

 

文は首を傾げながらどうぞと徳利を手渡した。赤禰はそれを三津のお猪口に注いでどうぞと渡した。

 

 

「グイッといこうか。」

 

 

笑顔の赤禰にそう言われて三津は一気に呑み干した。するととろんとした目で微笑んだ。

 

 

「もうおやすみ。」

 

 

赤禰が頭を撫でながらそっと囁やけば三津はこくりと頷いてまた赤禰の膝枕で寝始めた。

 

 

「どう言う事?」

 

 

「三津は下戸なそっちゃ。呑んで寝たら起きた時には記憶ないそ。危ない,武人さんに恋するとこやった。」

 

 

入江はぽかんとしている文に説明して変な暗示かけんなと怒鳴った。

 

 

「武人さんも武人さんや。その気もないくせに三津惚れさすなや。」

 

 

「その気がない事もないぞ?こう言う形から始まる夫婦もおるやろうし。三津さん可愛いけぇ俺は問題ないし。」

 

 

「はぁ?信じられん!」

 

 

「いや,俺からしたらつげの櫛まで忍ばせるほど惚れとる奴がずっと同じ部屋で寝ちょるのに手ぇ出しとらん方が信じられんわ。」

 

 

赤禰の言葉に文が激しく同意して頷いた。

 

 

「萩の往復の間も本当に何もしとらんそ?でも三津さんの様子がちょっと変やと思ったんやけど。」

 

 

「九一,私は文句の言える立場にないから正直に話してくれていいぞ。私は隠されるより全て知らされた方が楽だ。」

 

 

桂は聞く覚悟は出来ていると酒を呑むには正しすぎるほど綺麗な姿勢で入江を見ていた。

 

 

「抱いてはないけど。」

 

 

「けど何なん?」

 

 

さっさと吐けと文が詰め寄る。

 

 

「旅の帰り,最後の最後で我慢出来んくなってお願いしたそっちゃ。」

 

 

「何を?」

 

 

もったいぶるなと文が急かすが,桂は今にも止まりそうなぐらい心臓が早鐘を打っていた。

 

 

「もう我慢出来んけぇ手ぇ貸してって。」

 

 

「……手?」

 

 

三人が声を揃えて何の事だと疑問符を浮かべた。

 

 

「そう。溜まったもん出したいけぇ三津の手貸してってお願いして貸してもらったそ。」

 

 

「つまりは……。」

 

 

「もうそこまで言ったら察してくれん?全部言わせんなや。」

 

 

説明するのは私でも恥ずかしいわと文を睨んだ。桂は少し遠くをぼーっと見つめてからグイッと酒を煽った。

 

 

「三津は……握ったのか……?」

 

 

「見なくていいならって言ってくれたんで布団の中に手だけ突っ込んでもらって。」

 

 

「お前何やらせてんの?」

 

 

赤禰は溜息をついて何だか目眩がすると上を向いてから手で目を覆った。

 

 

「やけぇ性癖があれやって言われるそっちゃ。どうせならそんな事せず抱け。」

 

 

「いや,こっちのが断然興奮したけぇ。」

 

 

「すまん……覚悟は出来てたんだが想像と違った上にそれを三津が了承したのが信じ難くて……どう反応すればいいか分からない……。」

 

 

桂は頭を抱えて目の前がちかちかすると何度も目を瞬かせた。

 

 

「ところで……この話フサちゃんに聞かせて良かったそ?」

 

 

入江の言葉にハッとした三人は赤禰の横にちんまり座っているフサを見た。

 

 

「フサも今年で十五になりましたので嫁に行くか婿を取るかの話も出ておりますので勉強になります。」

 

 

フサはお構いなくと笑ってペコリと頭を下げた。

 

 

「それより姉上は大丈夫でしょうか。」