「宦官は皇帝陛下の傍にあ

「宦官は皇帝陛下の傍にある存在だからこそです。また兵力が有効なのは皇帝陛下に刃を向けないからです。ならば、御体を他所へ移し共に将軍らに武器を捨てろと勅令を出すべく動きます」

 

 俺も同感だ、正解だよ。

 

「では具体的には」

 

「それは……申し訳ございません、避孕藥副作用 自分では考えが及びません」

 

 目を閉じて小さく頭を左右に振る。限界を知っているものが潔く降参をしたか、出まかせで食い下がるのは現場で武器を振り回すやつなら褒めてやるが、より多くを握るものとしては野蛮でしかない。

 

「荀彧ならどうだ」

 

 こいつの理解度は俺を遥かに越えるが、ちょっとしたズルをしている今はこちらがより遠くを知っているぞ。「渦中を遠ざかる、出来れば二日ほどの距離があるのが望ましいでしょう。城壁に囲われているのが理想ではありますが、街道では直ぐに見つかってしまう懸念が御座います」

 

「だろうな、何せ目立つ」

 

「ですので道を外れ動きます。しかし馬車が通ることが出来るのが最低限の条件、南部へは向かいません。実は未だに東か北いずれか迷っております」

 

「なに、人は知っている地があるとそこへ逃げようとするものだ、宦官らは最近とある場所へ出向いたはずだがどうだ」

 

 ヒントをくれてやる、俺も想像でしかないが平地でうろついていたら程なく発見されるだろうから、やはり山地に逃げ込むのが人情ってやつだろ。

 

「先帝の埋葬で御座いますか」

 

 何度も北部に偵察を入れろと言っているんだ、だが根拠が確実とは言い難いな。

 

「北部山地に向かうと俺は確信している。その為に彼の地の偵察も密にさせていただろう。細かい場所までは絞り込めなかったが、痕跡を残さずに移動できるような組み合わせではないはずだ」

 

「我が君の思慮に感服致します」

 

 荀彧が腰を折ると、趙厳も大きく頷いて同じようにした。そのうちズルが出来なくなるが、一度確立してしまえば別の経験が役に立つさ。

 

「全ては想像でしかない、二人とも様々な想定をしていて欲しい。一つの頭よりも三つの頭だよ」

 

 笑ってやり解放してやる。大将が歩き回っても邪魔になるだけ、兵の掌握はあいつらに任せて横になる。一晩経って野営陣に何苗のところの伝令が駆けつけた。お、もしかして上手く行ったか? 眼前にやって来ると、凶報と言うのがはっきりと感じられた。「申し上げます。車騎将軍何苗様は、大将軍何進様の部将である、呉匡、董旻らの裏切りにより討ち死になされました!」

 

「裏切りだと!」

 

 なんてこった、兵力はあってもそこから攻められたら意味がないぞ。何苗がどうして歴史から名を消すのかと思ったら、そういうことか。だがどうして?

 

「なぜそいつらは裏切ったのだ」

 

「それが、何進様が危険な場所へ行くのを止められたのにそうしなかったのは、何苗様がその……死ぬのを望んでいたからだと、報復を叫び私兵を引き連れ車騎府へ乗り込んできました。不意を衝かれて命を落とされています」

 

 眉を寄せて悲痛な表情を作っている。逆恨みか、それとも本当に知っていたのか? いや、俺があった感じでは隠し事をしていた様子は無かった、こいつは呉匡とやらの勇み足だぞ。それを察知して止められなかったのは何苗の失策だ。

 

 そこからだ、伝令が迸るように駆け込んでくるようになったのは。「どうやら何進大将軍は、正しき漢の将足るものは、朝廷の宦官を除き、真の忠誠を見せるようにと馬を走らせたようです」

 

「すると宦官が動いたのはそれを知ったからか。だと言うのに宮へ出向いたとはな……」