「なんと毒草が! 

「なんと毒草が! 夥県令に警告を与え、揖県を支えるようにさせよう」

 

 郡の中では飛び地ではあるが、その二つは隣接している、助け合うようにってならそれでいいさ。しかし、この太守は随分と荀彧や陳紀に対して遜る感じがする。やはり俺なんかが傍に置けるような奴らじゃない可能性が濃厚だぞ。

 

 その後、小一時間ほど雑談が続き、これといった話題も尽きて来た時のことだ。

 

「陳先生、是非とも私に教えを説いて頂きたく」避孕藥副作用

 

 周太守が陳紀にお願いをした。即座に断らないか、では俺達は邪魔だな。

 

「周太守、自分はこれでお暇します。城内を見て回りたいのですが、許可を頂けるでしょうか?」

 

「ああ、構わんよ」

 

「ではこれにて失礼」

 

 そういって一礼して立ち去ろうとすると、荀彧もついてくる。

 

「周太守の願いですからな、無下にも出来ません。ではこちらで」

 

 陳紀が一つ段が高い小あがりのような場所へと席を移すと、周太守もそれに従う。屋敷を出て城下へ出ると肌寒い、酒が入っているので出た直後は少し気持ちよいくらいではあるが。

 

「我が君、練兵場へ行ってはみませんか」

 

「どうしたんだ急に、何かあるのか?」

 

 兵士がいるだけだろうに、別に嫌じゃないが。

 

「丹楊兵を見ておくのも宜しいかと思いまして」

 

「うん、丹楊兵? この地の兵だな、どういうことだ」

 

 そうまでいうなら何かしら理由があるはずだからな。そうまで言わなくても荀彧なら全て色々考えた末のことだと知ってはいるがね。「かつて、呉より出でた諸将らが率いた軍兵は非常に精強で、中原の諸兵に比べ頑強との誉れ高い評価が与えられております。わざわざここへ徴兵しに来るものすら御座います。その丹楊兵がいかほどかを、この目で確かめておきたく思いまして」

 

 この目でとはいうが、俺に見ておけってことだよな。強兵を産む地域か、気になって来たぞ!

 

「なるほど、では行ってみるとしよう」

 

 練兵場に近づくと、気合いの入った掛け声が聞こえて来た。門を開けて中に入ると、そこらの者よりも少し身体が大きく、若干肌が焼けたような感じがする兵士らが素手や棒を使って訓練をしていた。

 

 …………これで雑兵だというなら確かに化けるぞ。二年兵だとしても、概ね下士官に使えるくらいの戦闘力だ。

 

「おい、この中で一番階級が高い奴はどいつだ!」

 

「はっ、俺です!」

 

 駆けて来た二十代前半の男、筋肉がついていて骨からしてそこらの奴らとは違うな。伯長か、腕試しをしてみるとしよう。

 

「島県令だ。少し運動がしたくなった、相手をしろ」

 

「畏まりました」

 

 棒を受け取ると軽く振ってみる。さて、丹楊兵の腕前拝見! 真っすぐの突きから始め、徐々に難易度をあげて行き、防戦一方になる若者の喉元に棒を突き付けた「もう二人来い」覚えがありそうなのを呼び寄せて三人を同時に相手してやる。

 

 真剣ではないので多少苦しい場面もあったが、少なくとも現在の手下にはこれだけ出来る兵は居ない。結局は三人を二度ずつ棒で突いたり叩いたりしてやり訓練を終える。

 

「これが丹楊兵か、確かに強い」

 

 そういうと荀彧が微笑む、というのもだ、兵らの熱視線をあびているからだな。「島県令、我等が三人で対したというのに一太刀すら与えることが出来ないとは! 感服致しました!」

 

 膝をついて首を垂れる。これは経験の差でもあるが、叩かれた位じゃ死なないと思って大胆に動いた結果でもあるからな、あまり褒めるなよ。

 

「なに、丹楊の酒が美味かったからだよ。縁があればまた会おう」

 

 練兵場を後にすると、総員から見送られる。良い運動をしたな。丹楊兵か、配下に欲しくなったぞ!