は副長にぴたりとす

は副長にぴたりとすいついていてはなれない。

 

 いまのだと、フランス軍士官だけでなく副長も無礼を働いたように受け取れる。

 

 副長の眉間の皺が、子宮內膜增生 よりいっそう深く濃くなった。

 

「今井君……」

 

 古屋の眉間にも皺が刻まれた。

 

 かれは、すでに『今井』という男がどういう男かわかっているのだ。

 

「ほかの隊や、ましてや仏蘭西軍士官たちと揉め事をおこしてもらっては困る。かれらは、われわれの協力者だ。協力してくれているのだ。この意味がわかるかね?」

 

 古屋は、まるで三歳児にいいきかせるように注意深く丁寧な口調で語りかけた。

 

「協力者であろうとを愚弄したのだ。それは、話は別だ」

 

 にべもない。

 

 ってか上役ってところで、かれの隣人愛の対象がフランス軍士官から副長に転嫁してしまったようだ。

 

「かれらはそうは申しておらぬぞ、下種野郎」

 

 俊冬が鼻を鳴らしてからいった。

 

 俊冬は、今井のまえでは将軍家の隠密で通しきるつもりらしい。しかも、今井のことを『下種野郎』認定している。

 

「なんだと?」

「なんだと?」

 

 今井はさらに気色ばんだ。体ごと俊冬のほうに向いて叫んだ。

 

 俊冬は、冷静にその今井のコピーをした。

 

 声真似だけでなく表情まで似ていたので、周囲にいる野次馬たちから笑声がもれた。

 

 そのとき、榎本や大鳥、それからブリュネらも騒ぎをききつけやってきた。

 

「異国語というのは、悪口雑言ほど覚えやすいものなのだ。かれらのなかの数人は、『これだから毛唐は』と貴様らがいい、せせら笑っているのをはっきりときいておる。かれらは、それに抗議したまでのこと。この騒ぎは下種野郎、貴様が火種であってかれらではない」

 

 俊冬の糾弾に、今井は瞬時にして逆ギレした。

 

「ちがう。こやつらがわれらをみてせせら笑ったのだ」

「下種野郎、愛想笑いというのをしらぬのか?いや、失礼。しっておるはずだな。なにせ、貴様はお偉いさんにそうやって取り入っておるのだから」

 

 俊冬は、よほど今井のことが気に入らぬようだ。

への対応とおなじである。

 

 大石は、元新撰組の隊士である。「人斬り」を自称していた。実際、副長は斎藤のかわりに大石をつかって文字どおりブラックなことをさせていた。

 

 斎藤をはじめとした誠の「人斬り」とちがうのは、大石が人を斬ることが大好きというところである。

 いわゆる『サイコパス』である。

 

 しかも、根性がババ色であった。

 

 そんな大石に、俊冬は容赦しなかった。びびらせまくり、恥をかかせまくった。

 

 史実どおりにゆけば、来年、かれはおねぇこと殺害の罪で斬首されることになる。

 

 悪いが、かれを助ける術はない。

 

 それは兎も角、その大石同様に今井に容赦のない俊冬は、今井を責めつづける。

 

 「愛想笑い?毛唐のかんがえておることなどわかるかっ!毛唐の信仰しておる神も気に入らぬ」

 

 なんてこった。かれは、いまのところはキリスト教が大嫌いみたいだ。

 

 そりゃあ、隣人を愛せるわけがないよな。

 

「神や仏は関係あるまい?それに、信仰は自由だ。伴天連の教えもいいものだぞ。なんなら、教義を語りきかせようか?きっと興味を抱くはずだ」

 

 俊冬は、そういって笑った。

 

 俊冬は、今井の将来のために提案しながら、自分でも面白い思いつきだと思ったにちがいない。

 

「それは兎も角、謝罪すべきがどちらかは、問うまでもない」

 

 そして、俊冬はをあらため、結論をくだした。

 

「断る」

「おいおい、下種野郎。貴様に選択肢はないのだぞ。貴様が土下座して謝罪せねば、この場はおさまらぬ。そうなれば、明日からの海戦でかれらと連携がとれずに負けるやもしれぬ。貴様、その責を負えるのか?」

 

 この会場にいる全員が、いまや俊冬の言葉に耳をかたむけている。

 

 フランス軍の士官たちには、俊春がトランスレイトしている。

 

「しらぬ。わたしは