だけでなく動物たちにもいい気分転換になったらしい。馬たちにいたっては、背に銃をくくりつけられているのに、足取りも軽い。
そして、相棒も。沢庵がエネルギーとなったのか、スキップしだしそうなほどウキウキしている。
もしかすると、馬も犬も、双子がいるからかもしれないが。
「われら、悟りをひらいておりますゆえ」
月と星々の光の下、肺癌成因 俊冬が手綱を握る掌と握らぬ掌をあわせ、合掌する。
いやいや、俊冬。だったら、おれをいじれるわけないだろう?それに、だけでなく動物たちにもいい気分転換になったらしい。馬たちにいたっては、背に銃をくくりつけられているのに、足取りも軽い。
そして、相棒も。沢庵がエネルギーとなったのか、スキップしだしそうなほどウキウキしている。
もしかすると、馬も犬も、双子がいるからかもしれないが。
「われら、悟りをひらいておりますゆえ」
月と星々の光の下、俊冬が手綱を握る掌と握らぬ掌をあわせ、合掌する。
の心をのぞきみたりしないだろう?
突っ込みまくってみる。
「勘違いするでないぞ、主計。悟りとは、心の迷いを超越し、真理を会得すること。わたしは、主計をからかうか否かを迷い、修行の上からかう道にゆきついた。さらには、主計をいびるという真理を会得した。つまり、われらがおぬしをどう料理しようと、それは悟りによってなしえているというわけだ」
「ちょっ・・・。なんなんです、それ?そんな悟り、きいたことありませんよ。それはですね。悟りではなく、屁理屈っていうんです」
まったく。そんな悟りがあってなるものか。許してなるものか。
「なにを申すかっ!われらは、何千年もの間、結跏趺坐にて宇宙と現世の真理を追究したのだ」
いや、俊冬。あんた、仏陀か?何千年もって、もりすぎっていうよりかはも仙人レベルのペテン師じゃないか。しかも、結跏趺坐?
もしや、これってこの無意味な話題のオチなのか?
斎藤をみてしまう。
「んん?なにゆえ、わたしをみる?この話題に、わたしがちらりとでも関係しているとは思えぬが?悟りをひらくには、わたしは修行がたりなさすぎる」
歩をとめ、さわやかな笑みとともにいう。
「いいえ。関係あるんですよ、斎藤先生。ああ、悟りってところじゃありません。結跏趺坐ってところです」
「結跏趺坐?なんだそりゃ?」
永倉の頓狂な叫びに、俊冬が教えてやる。
これすなわち、仏教における最も尊い座法であることを。
「斎藤先生は、ずっとさきに亡くなるんですが、死ぬ際、この結跏趺坐で亡くなったといわれています」
「はあ?わたしは、出家でもするのか?」
驚くのも無理はない。フツー、そんな恰好で死ぬなんてことないし。「斎藤。すごいな、おまえ」
「新八の申す通り。斎藤らしいっつの上がいいな」
「原田先生。いくらなんでも、ったら斎藤らしいっていうのか、これって?それは兎も角、おれだったら、
いやいや、俊冬。だったら、おれをいじれるわけないだろう?それに、の上で結跏趺坐とは、ちと難しくはありますまい・・・」
「そんなわけないやろ」
「そんなわけなかろうがっ!」
俊冬のボケに、思わずまた関西弁で突っ込んでしまう。
もちろん、おれ以外は関西弁ではないが。
「わたしが、結跏趺坐のまま死ぬ・・・」
斎藤が歩をとめた。それにつられ、おれたちも立ち止まる。
木々の間からみえる月も、いまは西の空、うしろにみえている。
「斎藤先生。なにゆえ結跏趺坐なのかは別にして、あなたは、この戦がおわでありつづけるのです」
道はちがえど、二人はずっと剣士でありつづける。
それぞれ、それを象徴するエピソードが残っている。
そしてまた、だれからともなくあゆみだす。
ときおり、どこか遠くで、あるいはちかくで、いろんな鳴き声や息遣いがする。馬の蹄の音、「ブルル」という鼻をならす音も。
これが戦国時代などの戦なら、馬の口に布をかませ、わらじをはかせただろう。
もっとも、いまは逃避行である。それに、セキュリティーシステムどころか、軍でつかうような最新鋭のセンサー以上の感知能力をもつ双子がいる。
数キロ単位で怪しげな気配を感じれば、すぐに馬に静かにするよう、お願いするはず。
ったのちも、ずっとでありつづけます。それは、永倉先生も同様です。お二人は、生涯、剣士であり