に涙が溢れていて

に涙が溢れていて、すぐにも零れ落ちそうになっている。

 

 BLではないが、こんな二人の関係をみせられたら、「おれがかわって会津にいき、残ります」っていいたくなってしまう・・・。わけないよな。

 

 副長の側にいたいのは、事後避孕藥原理 おれだっておなじなのだから。その想いは、けっしてかれにひけはとらぬはず。

 

 くどいようだが、けっしてBLカテにはいるような『想い』ではない。

 

「斎藤。戦がおわったら、おまえも丹波にいってやってくれ。総司や平助、山崎に林、それから左之に、すべてを語ってきかせてやってくれ」

 

 もはや、どうすがろうと、懇願しようと、副長が変心することはない。文字通り、身を切るような決断をくつがえすことはかなわぬ。

 斎藤は、そう察したのだ。副長の腕をつかむかれの掌が、力なく落ちる。

 

「に涙が溢れていて、すぐにも零れ落ちそうになっている。

 

 BLではないが、こんな二人の関係をみせられたら、「おれがかわって会津にいき、残ります」っていいたくなってしまう・・・。わけないよな。

 

 副長の側にいたいのは、おれだっておなじなのだから。その想いは、けっしてかれにひけはとらぬはず。

 

 くどいようだが、けっしてBLカテにはいるような『想い』ではない。

 

「斎藤。戦がおわったら、おまえも丹波にいってやってくれ。総司や平助、山崎に林、それから左之に、すべてを語ってきかせてやってくれ」

 

 もはや、どうすがろうと、懇願しようと、副長が変心することはない。文字通り、身を切るような決断をくつがえすことはかなわぬ。

 斎藤は、そう察したのだ。副長の腕をつかむかれの掌が、力なく落ちる。

 

「も伏せたまま、消え入りそうな声で告げる斎藤。

 

 副長が、ほっとちいさく吐息をもらすのが感じられる。

 

「斎藤先生。こちらは、局長よりのお心づけでございます」

 

 それまでひっそりと控えていた俊冬が告げ、俊春とともに胸元の袱紗をさしだす。

 

「こちらは、新撰組より会津藩へ。こちらは、局長より斎藤先生と隊士の方々へ」

 

 双子から二つの袱紗を受け取り、それを大事そうに抱える斎藤。

 

 かれの風呂敷包は、おれがもつことにする。転がっているそれを拾い上げ、胸元に抱える。

 

 腕にあたる感触から、軍服のかえに着物と袴、刀の手入れ道具一式のようだ。

 

「斎藤。みな、準備ができてる頃合いだろう。会津の若い連中をまたせてる。そろそろ・・・」

「副長。わたしは、局長の死に目をみることも・・・」

「斎藤。かっちゃんに、選別の礼をしっかりいっとけ。それは、かっちゃん自身の金子だからな」

 

 斎藤は、局長とはこれで今生の別れになる。副長は、最後の挨拶をしておけといっているのである。

 

 鼻をすすり上げつつ、無言でうなずく斎藤。

 

「俊冬、俊春、主計。局長と副長を頼んだぞ」

 

 返す言葉もない。やっとを順番に向ける斎藤に、無言でうなずくしかできない。

 

 あまりにもはやくやってきた別れ。今回ばかりは、誠に不意打ちである。

 

 を真っ赤にし、斎藤が拳をだしてくるのでフィストバンプする。俊冬と俊春も。

 

「ぽち、たまを案じさせるな。それからたま、ぽちをいじめるな」

 

 斎藤は、そういいながら俊春の頭を撫でる。

 

「主計。八郎より副長のほうがいい男だと、おれは思うがな」

 

 なにい?斎藤、なにも無理矢理笑いをとってくれなくったっていいんだぞ。

 

「わかっていますよ、斎藤先生。副長は、古今東西あまたいる歴史上の人物のなかでも、ルックス、つまりだけは、三本の指に入るほど、いい男で有名なのです」

「ちょっとまちやがれ、主計。だけは、って、どういう意味だ、ええ?」

 

 副長の突っ込みが入ったところで、障子の向こう側から斎藤を呼ぶ声がする。

 

「斎藤先生」

「斎藤先生」

 

 障子のちかくにいる俊春がそれを開けると、縁側のむこうに市村と田村がいる。しかも、泣きながら。その市村の掌に、相棒の綱が握られている。相棒は、二人の間にはさまれた形でお座りし、こちらをじっとみている。さすがに、泣いてはいないが。

 

「くそったれ。おれはまた、餓鬼どもに恨まれるってか?」

 

 副長のつぶやきに、思わずふいてしまいそうになる。

 

「斎藤。兼定と餓鬼どもに、しっかり挨拶しておけ」

 

 俊春が金子をあずかり、斎藤は庭にでて相棒と子どもらと抱いてしばしの別れを惜しむ。

 

 決定してから出発まで、一時(約二時間)もかからない。

 

 金子家の門前で、斎藤たち別動隊は、局長と副長を筆頭にしばしの別れをする。