これの繰り返しです。

これの繰り返しです。敵は倍以上ですが、地形上実際の稼働率はおれたちよりすくなくなります。そして、わんこが陽動ついでに敵を攪乱、攻撃をします。これらで敵の戦力はかなり低下します」

 

 俊冬の説明に、避孕 だれもが生真面目なも追いかけていますよね」

 

 俊春が返してきた。

 

 しかも、『Sh〇ri』と尻をかけてきた。

 

 それから、三人で大笑いした。

 

 やっぱ、いいわ。最高だ。こんな会話、マジで愉しすぎる。

 

「なんだ?愉しそうだな」

 

 そのとき、副長が門からでてきた。

 

 島田と蟻通を従えている。

 

「いえ、ちょっとした雑談です」

 

 笑いながら答えると、副長はただ笑っただけでそれ以上の詮索をしなかった。

 

「ところで、利三郎は?」

 

 副長は詮索はしなかったが、別の問題を提起してきた。

 

「まぁ、いるわけはないな。くそっ、一人でも人手がほしいのに」

 

 副長、気持ちはよくわかります。

 

 が、朝餉のあと、野村の姿をまったくみていない。どこに雲隠れしているのか、まったく気配がない。

 

 相棒と俊冬と俊春の鼻ですら、においをキャッチできぬらしい。

 

 探す手間じたいがときの無駄であろう。

 

 ゆえに、放置することになった。

 

 そんなこんなで二股口へ進軍してから、まずは土塁胸壁造りにとりかかった。

 

 俊冬と俊春の指示のもと、伝習隊の歩兵や衝鋒隊フランス軍将兵たちと一丸となっての作業である。

 

 だれもが土だらけ泥まみれになった。

 

 訂正。副長、以外の全員である。

 

 フランス軍士官ですら上着を脱いで手伝ってくれているのに、副長だけはどこ吹く風であるきまわっては重箱の隅を突っつくようにいちゃもんをつけまくっている。

 

 今回、相棒があちこち飛びまわって熊を警戒してくれた。

 

 結局、準備が万端に整うまでに丸二日間かかった。

 

 その時点で、久吉と沢が市村と田村を連れ、五稜郭へともどっていった。

 

 かれらが残りたがったのは当然である。

 

 が、市村は思いだしたらしい。

 

 たった一人で蝦夷から日野へつかいにだされるかもしれない、ということを。

 

 命じられたことに素直に従わなければ、史実どおりになる。

 

 かれはきっと、そう判断したのだ。だから、田村をうながしてでうなずいている。

 

 フランス軍の士官たちには、俊春がトランスレイトする。

 

「銃を冷やすのを忘れぬよう」

 

 俊冬の説明の後、副長がシメた。

 

 副長、たったそれだけっすか? 

 

 俊冬の事細かで具体的で実際的な説明にくらべ、やけにシンプルだ。

 

 シンプルすぎてびっくりだ。

 

「なんだと、この野郎っ!」

 

 副長にまたしても叱られた。

 

「史実では、半日以上の激戦になります。ですが、勝てます。ぜったいに勝てます」

 

 これでは、副長の指揮官としての能力が疑われる。

 

 ゆえに、副長にちかづいてそう耳にささやいた。「いいか。ここでの戦いは長期戦になる。だがな、この一戦、かならずや勝てる。それを信じ、みなひたすら撃ちまくれ」

 

 副長は、あらためてそう告げた。

 

 集まっている士官や隊長は、心打たれたかのように強くうなずいた。

 

 うーんって感もなくはないが、これで一応指揮官土方の体裁は整っただろう。

 

「ぽち、いくのか?」

 

 木の蔭で黒装束に着替えている俊春に声をかけた。

 

「こないで」

 

 すると、ぴしゃりといわれた。

 

「きみは、いつもぼくが裸になったときにちかづいてくるよね?」

「な、なにをいっているんだ?たまたまだろう?なにもそのタイミングを狙っているわけじゃない」

「どうだか」

「どうだかって、そんなわけがないだろう?」

 

 また不毛ないい争いである。

 

 だいたい、おれがなにをするっていうんだ?

 

 誤解もいいところだ。

 

「おいおい、またぽちいじめか?」

「って蟻通先生、ちがいますって。ぽちが自意識過剰なんですよ」

「まっ、ぽちはかわいいからな。おまえの想いもわからぬでもない。だが、いまここでどうにかしようなんてことはいただけぬぞ」

「だから、ちがいますって。ってか、蟻通先生もぽちをかわいいって思ってるってことですよね?」

「ああ。かわいいだろう?だれもがそう思っている。わたしだけではない」

 

 それがなにか?、的にかえされてしまった。

 

「まったくもうっ!もういい、もういいよ。はやく着替えていけよ。気をつけろっていいたかっただけなのに、とんだ誤解だ」

 

 めっちゃくさってしまう。

 

 軍靴の先で足許の草を蹴っている間に、俊春は着替えおわったようである。

 

「マジで気をつけろ」

 

 かれが間隔をあけて通りすぎようとしたとき、そう声をかけた。

 

 ってか、口の形をおおきくしてそう伝えた。

 

「ありがとう」

 

 俊春はかっこかわいい