俊冬と俊春が戻ってきた。

 俊冬と俊春が戻ってきた。

 

 二人は、敵が残らず撤退したかどうか物見にいっていたのだ。

 

「伏兵がいましたが、撤退してもらいました」

 

 俊冬が報告をした。

 

 その方法は、意外懷孕 尋ねる必要はないだろう。

 

 俊冬の横に立つ俊春は、さすがに疲労の色がでている。

 

「二人とも、よくやってくれた」

 

 副長は俊春の懐に入り、土や硝煙で薄汚れた掌を伸ばして俊春の頭をなでた。

 

 じょじょに夜が明けつつある。雨は、止んでいる。

 

 おれたちは、一晩中戦いつづけたのだ。

 

「このまま木古内へ向かいます」

 

 俊春がいった。

 

 副長が『すこしは休め』といったところで、責任感の強いかれのことである。きくわけもない。

 

 副長はかれにたいしてはなにもいわず、古参隊士と伝習隊の歩兵頭を呼んで幾つかの指示をあたえた。

 

 警戒にあたるようにとか、武器弾薬を調べ補充するようにとか、再度攻めてくるまですこしは間がある。交代で箱館に戻ってリフレッシュするようにとか、もろもろ伝えた。