いるのである。

いるのである。

 

 もっと死ぬかもしれない。

 

 おれが知るかぎりでは、この四名は確実に死ぬはずである。

 

 すくなくとも、web上のだれかが作成した資料では、そうなっている。

 

 沢と久吉は、easycorp company formation 死ぬわけではない。もともと、久吉はとっくの昔に死んだことになっている。

 

 沢は、副長の最期を看取る一人といわれている。

 一応、いてもらったほうがいいだろう。

 

「わかった」

 

 中島はうなずいた。

 

「登。その四名にはここには戻らず、戦線を離脱して四人そろって生きのびるよう伝えてくれ。かならずや生き残れ。おれの厳命だと伝えるんだ」

「承知。かならずや伝えます」

 

『厳命を無視すれば、「局中法度」に従って切腹ですよねー』

 

 そんなジョークは、かまさないでおいた。

 

 いくらなんでも、ブラックだしKYすぎるだろう。

 

「永井様には、くれぐれもよろしくと伝えてくれ。新撰組を頼む、とな」

「承知」

は、幕臣である。幕臣にしてはめずらしく、新撰組にたいして好意的である。

 

 新撰組は、かれにずいぶんと世話になっている。

 

 永井は、この箱館政権で箱館奉行を務めている。

 

 ちなみに、永井は昭和四十五年に衝撃的な自決を遂げることになる文豪の父方の高祖父に当たる人物である。

 

「さあ、いけ」

 

 中島は、うしろ髪惹かれるで去っていった。

 

 明日、死ぬのは隊士たちだけではないからである。

 

 そして日中、休息をあたえられたが、正直、それどころではない。

 

 俊春のことが気になりすぎているからだ。

 

 それでも、時間はすぎてゆく。

 

「だれかが副長を狙っている、ということだな」

 

 厩にいる。

 

 副長は、島田と相棒を連れて五稜郭にいる各隊をみてまわっている。

 

 正直、それもヤバいだろう。

 

 たったいま蟻通がいったように、だれかが副長のを狙っているとすれば、この辺をあるいただけでまた狙われる可能性がある。

 

 が、人類の叡智である相棒がついている。

 

 副長も、自分が狙われていることはわかっている。

「だれが歳さんを狙っているのか、ということですよね」

 

 伊庭がつぶやいた。

 

 そう。そこ、なのである。

 

 人類の叡智である

 それでも各隊の将兵の様子を見、必要に応じて叱咤激励したいのである。

 には、わかっている。

 

 が、いまここにはいない。

 

 おれたちでは知りようもない。

 

 いろんな意味でイライラする日中をすごす羽目になってしまった。

 

 夜になって副長と俊冬が榎本らとの宴にいってから、もう一度打ち合わせをするつもりである。

 

 相棒はわずかながらソワソワしているものの、檻の中の狼みたいにいったりきたり、というほどのイライラはしていない。

 

 その様子をみるかぎりでは、俊春の容態が悪くなったりなんてことはないのであろう。

 

 精神的なつながりのあるかれらのことである。

 俊春に万が一のことでもあれば、すぐに知らせてくれるだろう。その上で、自分はすぐに俊春のもとに駆けつけるはずである。

 

 そういふうに、いいように理解することにしておくことにした。

 

 そのように落ち着かない中、俊冬が五稜郭にやってきたのは夕方であった。

 

 マイ懐中時計の針は、十七時前を指している。

 

「たまっ、いったいどういうつもりなんだ?」

「主計。きみは、『A hedge between keeps friendship green. 』をしらないのか?」

 

 俊冬が厩にやってきたとき、思わずかれの懐を脅かすほどちかづいて詰問していた。

 

「なんだって?ああ、『親しき仲にも礼儀あり』のことか。知っているにきまっているだろう?ってかそんなことをいって、またはぐらかすのか?おれのだだもれの心の中のことは、わかっているんだろう?だったら、そんないい方をしてごまかすなよ」

「失礼だな。それに、そんなにギャーギャーとわめかないでくれ」

「わめかれたくなければ、素直に吐けよ」

「じゃあ、カツ丼が必要だね。それと、も。それをいうなら、昭和時代に使われていたような事務机や椅子や卓上用のライトも必要だし、きみはもっと年寄りの落ち着いたベテランのまではかろうじてどうにかできたようです。が、一個はムリでした。それを喰らったのです。兼定兄さんがその連中を特定してくれましたので追ってみましたが、内二名は死んでいました。敵に殺られたのか味方に殺られたのかはわかりません。が、生きている一名は逃げおおせたか、あるいはまだ味方にまじっているのかはわかりません」

 

 だれもがただだまってきいている。

 

 当然、つぎにくる質問がある。

 

「だれだ?黒幕はだれだ?」

 

 副長がその質問を放った。

 

 俊冬はしばらくかんがえていたが、ゆっくりと