魏の朝廷に参列してい

魏の朝廷に参列している曹族らの押しがあれば、恐らくは司馬懿を退ける。そして司馬懿への讒言があればより確実か。一番単純なのは司馬懿が謀反を画策しているというのを流せばいいわけだ、長期戦にして己の計画を準備する時間にしつつ、皇帝の権威を貶めるつもりってやつだな。呂軍師に相談してみよう。

 

 銚華がすっと離れると一礼して「旦那様がお出かけです」侍女にそう告げた。こちらの考えをすぐさま感じ取ってくれたらしい、本当に賢い娘だ。

 

「すまんが残業して来る、先に休んでいて良いぞ」

 

 戻ってすぐに部屋を出る、magazinesround.com/2021/10/06/10-options-strategies-that-every-investor-should-know/ 城内にある呂軍師の屋敷、外には屈強な警備兵が立っていた。ん、いや、どこかで見た顔だな。

 

「大将軍! すぐに主人にお知らせいたします」 玄関の内側で待つように招かれて小走りに行ってしまう。すると直ぐに中から呂軍師が出てきて「どうぞこちらへ」にこやかに勧める。

 

「突然済まんな、邪魔させてもらう」

 

 上座を勧められるままにそこに座すると、遅れて軍師も座る。どうせ俺がやって来た理由もわかっているんだろうが、何か言われる前にまずは考えを述べてしまおう。

 

「一つ思い付いたんだが、軍師の意見を聞きたくてな」

 

「左様ですか、お聞かせ願えますでしょうか」

 

 茶を用意するように家人に命じるとこちらをじっと見て言葉を待つ。大したまとまっていない考えなんだ、悪いな。

 

「俺は短期戦を望んでいる、ということは司馬懿は長期戦を望んでいるだろう。そこで対抗馬の曹真が短期戦を唱えるように仕向けたい。やつの意見を誘導し、それを擁護する者に仕込みを行いたいのだが、どうだろうか?」

 

 根拠は感情的なものでしかなく、そもそもが己の意見を前に押し出して主張するかどうかなど不明だ。だがそうなるような気がしてならないし、そうされるのが一番厳しい。

 

 小さく頷いて呂軍師は目を閉じた、自分の中で何かを確認する作業をしているんだろう。

 

「では順序を逆にたどると致しましょう」

 

「逆とは?」 全く意味が理解出来ない、逆とはどこのことを指しているかすらもだ。心理戦というやつか?

 

司馬懿が長期戦を望んでいるから、曹真が短期戦を望むの順です。まず曹真が短期戦を唱えます、それに司馬懿が乗れば良し、反対すれば長期戦を望むことになります。どちらになっても我等の望み通り」

 

 ふむ、軸を司馬懿に置かずにすすめるということか、確かにあいつを中心に据えてあらぬ方向へ行かれてはかなわん。ではどうやってというやつだな、うーむ。

 

「……蜀が長期戦を狙っているという噂を信じ込ませる?」

 

「よろしいのではないでしょうか。租税を引き下げる恒久的な統治法を喧伝して回り、反魏連合を叫んで包囲を進める。そのような動きをことさら見せつければ、曹真ならばそれを打ち破ろうとするでしょう」

 

 それに乗れば不見識を問われ、反対すれば押し切られる、司馬懿は従うしかなくなるわけか。そしてそうなれば、二心を疑われないようにするために前線へ出なくてはならなくなる。司馬懿が首都の警備から外れたら、不慮の攻めには耐えられなくなる。無能な総大将を頂かなくてはならない魏を作り出すわけだ。

 

「そのためにはやはり野戦で俺が囮にならねばならんな、司馬懿を釣るには一番のエサが必要になる」

 

「防衛をするならば羌族の歩兵が精強でありましょう。親衛隊にこれを加え、堅城要塞にてお引きつけ頂ければ」

 

 守るには糧食と高度、統率に忠誠が必要だ。つまるところどこの城に寄るかが肝要だな。

 

「どこが適切と考える」

 

「は、ここより東に八十里と行かずにある長平がよろしいかと」

 

「何故だ」